サロンワークの中でも、お客様からよくいただく質問のひとつが
「ヘアオイルって何を選べばいいの?」というものです。
ひとことで“ヘアオイル”といっても、成分や質感、仕上がりには大きな違いがあります。
今回は、現場の美容師目線で、オイルの種類・特徴・使い分けのコツを詳しく解説いたします。
1. ヘアオイルの基本的な役割
ヘアオイルには、大きく分けて3つの役割があります。
- 保湿:髪内部の水分蒸発を防ぎ、しなやかで柔らかい質感を保つ。
- 保護:熱・紫外線・摩擦などの外的ダメージから髪を守る。
- ツヤ出し:キューティクルを整え、光を反射させてツヤを与える。
オイルは単なる“ツヤ出し剤”ではなく、髪の健康を守るためのコーティング剤+補修アイテムでもあります。正しく選び、正しく使うことで、サロン仕上げの質感を長く維持できます。
2. ヘアオイルの2大分類
サロンで扱うオイルは、大きく「天然植物オイル系」と「シリコン系オイル」に分けられます。
この2つの違いを理解しておくと、髪質や目的に合わせた提案がしやすくなります。
◆ 天然植物オイル系
自然由来の成分を中心に構成されたオイルで、髪と頭皮への負担が少ないのが特徴。
ビタミン・ミネラル・必須脂肪酸などが豊富で、髪にうるおいと柔軟性を与えます。
主なオイルと特徴
- アルガンオイル:ビタミンE・抗酸化成分が豊富。軽い質感で細毛・軟毛向き。
- ホホバオイル:皮脂に近い構造で頭皮ケアにも◎。オイル特有の重さが少ない。
- ココナッツオイル:高い保湿力。乾燥毛・ハイダメージ毛におすすめ。
- オリーブオイル:コーティング力が高く、太毛・硬毛に向く。
天然オイル系はナチュラルな質感・軽さ・保湿重視の仕上がりを求めるお客様に向いています。
特に「スタイリング剤を使わず自然に仕上げたい方」や「敏感肌の方」におすすめです。
◆ シリコン系オイル
一方で、サロンワークで欠かせないのがシリコンベースのヘアオイル。
シリコンは化学的に合成された成分ですが、髪表面をなめらかに整える効果が非常に高く、熱保護・摩擦防止・ツヤ感の持続性に優れています。
特徴
- ドライヤー・アイロン前の熱ダメージ対策に最適
- 摩擦を軽減し、手触りを瞬時に改善
- ベタつきが少なく、ツヤの持続力が高い
ただし、重ねすぎると髪が重たくなったり、シリコン皮膜が残留して質感が鈍くなる場合もあります。
そのため、週1回程度のディープクレンジングでリセットするのが理想です。
3. 髪質別・プロのおすすめセレクト
サロンでお客様の髪を触って判断するように、ヘアオイルも髪質診断が最優先です。
以下はプロの視点でのおすすめバランスです。
| 髪質タイプ | おすすめオイル | 特徴・仕上がり |
|---|---|---|
| 細毛・軟毛 | アルガン・ホホバ | 軽さと柔らかさ。ボリュームを保ちながらツヤをプラス。 |
| 普通毛 | シリコンライトタイプ | 扱いやすく万能。熱保護と質感アップを両立。 |
| 硬毛・太毛 | ココナッツ・オリーブ | 重めの質感で広がりを抑える。艶やかでまとまりのある仕上がり。 |
| くせ毛・ダメージ毛 | アルガン+シリコンブレンド | 内部補修+表面コート。熱ダメージに強く、持続性◎。 |
カウンセリング時に、髪の太さ・クセ・カラー履歴・ライフスタイルを考慮して提案できると、リピート率が高まります。
4. 使用タイミングとテクニック
● ドライヤー前(アウトバス)
タオルドライ後、毛先中心に1〜3プッシュを均一になじませます。
中間~毛先を中心に塗布し、根元にはつけすぎないのがポイント。
ドライヤーの熱でオイルを“浸透ブースト”させ、内部まで保湿成分を届けます。
● スタイリング時(フィニッシュオイル)
乾いた髪に少量をなじませてツヤと束感を演出。
最近はウェットな質感を求めるお客様も多いため、天然オイル×シリコンのハイブリッドタイプも人気です。
● ナイトケア
寝る前のケアには、天然由来100%のオイルを推奨。
摩擦によるキューティクル損傷を防ぎ、翌朝のまとまりをキープします。
5. プロが意識している「使いすぎ防止」
サロンでの仕上げを家庭で再現できない理由のひとつが、オイルのつけすぎ。
お客様には次のようにアドバイスすると効果的です。
- ショート:1滴(0.5プッシュ)
- ミディアム:2滴(1プッシュ)
- ロング:3滴(1.5〜2プッシュ)
手のひらでしっかりのばしてから均一に塗布することで、ムラやベタつきを防げます。
プロとしてのフィニッシュワークでも「つける量」「つける位置」「手の動き」で仕上がりが大きく変わります。
6. サロンワークでの提案ポイント
お客様にオイルをおすすめする際は、
- 香り・質感・ツヤ感など感覚的な魅力
- **成分や目的(熱保護・保湿・補修)**といった機能的な価値
この2軸をバランス良く伝えるのがポイントです。
また、「アウトバス用」「スタイリング用」「ナイトケア用」など、用途別の使い分け提案を行うと、店販購入につながりやすくなります。
7. まとめ|オイル選びは“髪質診断”がすべて
ヘアオイルは万能アイテムではなく、髪質・状態・目的によって最適解が変わります。
- 軽さ・柔らかさ重視 → 天然植物オイル系
- 熱ダメージ・ツヤ持続重視 → シリコン系オイル
- バランス・操作性重視 → ハイブリッドタイプ
プロとして重要なのは、“お客様の髪に今、何が必要か”を見極めること。
その一滴の選び方が、仕上がりのクオリティを決めます。
サロン帰りのツヤと手触りをおうちでも再現できるよう、正しいオイルケアを提案していきましょう。


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