近年、「髪質改善」や「酸熱トリートメント」と並んで注目を集めているのが**“還元剤入りトリートメント”**。
サロンのメニュー名では「髪質改善トリートメント」「プレ還元トリートメント」「弱還元トリートメント」などと呼ばれることもあります。
「トリートメントなのにクセが落ち着く」「アイロンの通りが違う」などの口コミも多く、気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、美容師が還元剤入りトリートメントの仕組み・種類・注意点・おすすめの使い方までを、専門的かつ分かりやすく解説します。
1. そもそも“還元剤”とは?
まず理解しておきたいのが、「還元剤」という成分の役割です。
還元剤とは、髪の内部にある“結合(SS結合)”を一時的に切ることで、髪の形を変える薬剤のことを指します。
縮毛矯正やパーマに使われるチオグリコール酸・システイン・スピエラ・GMTなどが代表的です。
簡単に言えば、
- パーマ:還元剤で形を変え、ロッドでカールを作る
- 縮毛矯正:還元剤で結合を切り、アイロンでストレートに整える
というように、髪の形状を変える化学反応の“きっかけ”を作る成分が還元剤です。
2. “還元剤入りトリートメント”とは?
名前の通り、還元剤をトリートメントの範囲で使うメニューです。
縮毛矯正のように結合を大きく切るのではなく、ごく弱い還元剤を配合し、髪の内部を柔らかく整えながら補修成分を浸透させるのが特徴です。
つまり、
「トリートメントのようにやさしく、矯正のように少しだけ形を整える」
そんな中間的な技術です。
▷ 目的
- 髪の内部構造を一時的に緩め、扱いやすくする
- 栄養成分の浸透を促し、補修効果を高める
- 軽いクセやうねりを落ち着かせる
仕上がりはナチュラルなツヤと柔らかさで、**“まとまりやすい素髪感”**が人気です。
3. 使用される主な還元剤の種類と特徴
還元トリートメントにはさまざまな成分が使われますが、以下が代表的です。
| 成分名 | 特徴 | 効果の強さ |
|---|---|---|
| システイン | 髪や肌にも存在するアミノ酸系。自然でやさしい作用。 | 弱〜中 |
| チオグリコール酸(チオ) | パーマや矯正で使われる代表的成分。反応が早い。 | 中〜強 |
| スピエラ | 弱酸性で作用する還元剤。カラーとの相性が良い。 | 弱〜中 |
| GMT(グリセリルモノチオグリコレート) | 酸性領域でも働く、近年人気の還元剤。熱との相性◎。 | 中 |
| システアミン | 髪に柔軟性を与える。匂いが出やすいが効果が高い。 | 中 |
サロンではこれらを髪の状態やダメージレベルに合わせて調合し、
“柔らかく扱いやすい髪”に整える施術を行います。
4. 還元剤入りトリートメントの仕組み
一般的なトリートメントは、髪の表面や内部に栄養を補給してコーティングするだけです。
しかし、還元剤入りトリートメントはそこに「化学反応」を少しだけプラスします。
▼ 施術の流れイメージ
- 還元剤入りトリートメントを塗布
→ 髪の内部結合を“少しだけ”緩める - 軽く熱処理(ドライヤー or アイロン)
→ 開いた構造に栄養成分を浸透させる - 髪が柔らかく整い、うねりが落ち着く
この“結合を緩める+補修成分を浸透させる”というWアプローチで、
普通のトリートメントでは得られない質感改善が実現します。
5. 還元トリートメントのメリット
● 髪が柔らかくしなやかに
内部構造を一時的にほぐすため、ゴワつきや硬さを和らげ、
“しなやかで指通りの良い”仕上がりになります。
● 軽いクセや広がりを抑える
強い矯正力はありませんが、軽度のうねり・ふくらみ・乾燥毛を落ち着かせる効果があります。
● ダメージ補修効果が高い
還元によって開いた髪の内部に、ケラチンやCMCなどの補修成分をしっかり届けることができます。
● カラーとの併用がしやすい
酸性や中性の処方が多く、アルカリ膨潤が少ないため、カラー毛にも比較的安全に使用できます。
6. 注意点とデメリット
● ダメージリスクが“ゼロ”ではない
弱いとはいえ、還元剤は化学反応を伴うため、過剰反応や残留によってダメージの原因になる場合もあります。
髪の履歴(ブリーチ・矯正など)によっては、慎重な判断が必要です。
● 効果の持続は2〜4週間程度
矯正ほど強くないため、持ちは長くても1ヶ月前後。
継続的に行うことで質感が安定します。
● ホームケアとの併用が必須
施術後はアミノ酸系シャンプーや保湿トリートメントでケアしないと、還元効果が早く抜けてしまいます。
● クセを完全に伸ばすことはできない
“髪質改善”という名前でも、あくまで質感調整と内部補修がメイン。
縮毛矯正のようなストレート効果は得られません。
7. 髪質別おすすめタイプ
| 髪質・状態 | おすすめ度 | コメント |
|---|---|---|
| 軽いクセ・広がり | ★★★★★ | 自然に収まる。アイロン仕上げでさらにツヤ◎ |
| カラー・ブリーチ毛 | ★★★★☆ | ダメージ補修効果が高い。施術内容により調整必要。 |
| 強いクセ・縮毛 | ★★☆☆☆ | 効果は限定的。矯正との併用が◎ |
| 健康毛・太い髪 | ★★★☆☆ | 効果を感じにくい場合あり。反応を強めに設定することも。 |
8. 他の髪質改善メニューとの違い
| メニュー | 主成分 | 目的 | 効果の持続 | クセの改善度 |
|---|---|---|---|---|
| 髪質改善トリートメント | ケラチン・アミノ酸 | 補修・保湿 | 3〜6週間 | △ |
| 酸熱トリートメント | グリオキシル酸など | 形状補正+補修 | 1〜2ヶ月 | ○ |
| 還元剤入りトリートメント | 還元剤+補修成分 | 構造柔軟+補修 | 2〜4週間 | ○(軽度) |
| 縮毛矯正 | 還元剤+アイロン | 結合再構築 | 3〜6ヶ月 | ◎ |
つまり、還元剤入りトリートメントは**“酸熱と矯正の間”**に位置する中間的なメニュー。
「クセを伸ばす」というよりも「クセを扱いやすくする」「髪を柔らかくする」目的で使うと効果的です。
9. プロがおすすめする施術・ケアの組み合わせ
- カラー前に行う“プレ還元トリートメント”
→ 髪の内部を整え、発色や色持ちを向上。 - 縮毛矯正後のメンテナンス
→ 矯正毛の硬さを和らげ、自然な質感をキープ。 - 酸熱トリートメントとのハイブリッド
→ 還元で柔らかくし、酸熱で定着。ツヤ・まとまりを強化できる。
またホームケアには、熱ダメージを守るヘアオイルやCMC入りトリートメントを併用するのがおすすめです。
10. まとめ|“やさしい還元”で髪の内部から整える新時代のトリートメント
還元剤入りトリートメントは、従来のトリートメントとは一線を画す、化学反応型の髪質改善ケアです。
- 髪を柔らかくし、軽いクセや広がりを抑える
- ダメージを補修し、栄養を深く浸透させる
- 縮毛矯正ほどの負担がなく、自然なツヤと手触りを実現
一方で、髪の履歴や状態によってはリスクもあるため、必ず美容師による毛髪診断と適切な薬剤選定が必要です。
「矯正まではしたくないけど、髪をキレイに整えたい」
そんな方にとって、還元剤入りトリートメントは理想的な新しいケアメニュー。
サロンでの正しい施術とホームケアを組み合わせて、
内側からしなやかに輝く“素髪美”を育てていきましょう。


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