「最近ワックスを使う人、減ったよね?」
そんな声を美容室でもよく耳にします。
以前は男性のスタイリングといえば“ワックス一択”という時代がありました。
ところが、ここ数年で美容業界ではスタイリング剤のトレンドが大きく変化しています。
SNSでは「ヘアオイル仕上げ」「ヘアバーム」「スタイリングクリーム」など、ナチュラル質感を重視したスタイルが主流。
一方で、「もうワックスはいらないの?」と感じている方も多いはずです。
結論から言えば、ワックスの時代は終わっていません。
ただし、「使い方」と「目的」が大きく変わったのです。
この記事では、美容師がプロの視点で
👉 ワックス離れが進んだ理由
👉 新しいスタイリング剤の台頭
👉 今でもワックスが活躍するシーン
をわかりやすく解説します。
1. ワックス全盛期とその背景
2000年代〜2010年代初期にかけて、ヘアワックスはスタイリングの王者でした。
男性用スタイリング剤の売上の多くをワックスが占め、「ギャツビー」「ナカノ」「アリミノ ピース」などが定番ブランド。
当時流行していたのは、
- 束感のあるショートヘア
- 動きのある無造作スタイル
- スパイキーな立ち上がりヘア
いずれもワックスなしでは作れないスタイルでした。
ワックスには、
- 操作性の高さ(動かしやすい)
- 何度でも手直しできるリセット性
- ボリュームを出しやすい
といったメリットがあり、まさに“スタイリング=ワックス”の時代でした。
2. ワックス離れが起きた3つの理由
しかし、2018年頃から“ワックス離れ”がじわじわと進行していきます。
その背景には、ファッション・ライフスタイル・製品進化の3つの変化があります。
① トレンドが「ナチュラル・質感重視」にシフト
メンズだけでなくレディースも含めて、
「作り込みすぎない」「抜け感のあるスタイル」が主流に。
ツヤを抑えて束を作るよりも、
“自然なまとまり”や“しなやかな毛流れ”を重視する傾向が強くなりました。
つまり、
「動き」よりも「質感」が大事な時代
になったのです。
このトレンドに、従来のマット系やハード系ワックスは少し不向きでした。
② バーム・オイルなどの新しいスタイリング剤が登場
ワックスの代わりに人気を集めているのが、ヘアバーム・ヘアオイル・スタイリングクリームといった新世代のアイテムです。
これらは、
- ナチュラルなツヤ感
- 髪や肌にも使えるマルチ設計
- べたつかない軽い質感
- 天然由来成分によるケア効果
を特徴としており、
「つける=スタイリングしながら保湿する」という新しい価値観を提案しました。
とくにSNSで広まった“濡れ髪スタイル”“オイル質感”ブームが追い風になり、
若年層を中心に「ワックスよりバーム派」が急増しました。
③ コロナ禍以降のライフスタイル変化
2020年以降のリモートワーク・マスク生活の影響で、
“がっつりセット”の必要性が減ったことも大きな要因です。
外出時間が減り、
「軽く整えるだけでOK」
「寝ぐせ直し+自然な仕上がりで十分」
という人が増え、
日常使いしやすいバームやオイルが好まれるようになりました。
3. ワックスが“古い”と言われる理由と誤解
一部では「ワックスはもう古い」と言われることもありますが、
それは使い方やスタイルがアップデートされていないだけです。
昔ながらの「ガチガチ・ベタつく・白い粉が出る」ようなワックスは、確かに時代に合いません。
しかし現在は、ワックスも進化しています。
▼ 最新ワックスの特徴
- 軽くてベタつかない“クリームワックス”
- オイルやバームをブレンドした“ハイブリッドタイプ”
- UVカットや補修成分入りなど、ケア+スタイリング両立型
- ジェンダーレスデザインや香りの進化
つまり、「重たい・ベタつく」ワックスはもう古いですが、
「軽くてツヤのある新世代ワックス」は今も現役です。
4. 現代のスタイリング剤トレンドを比較
| 種類 | 質感 | セット力 | 向いている髪型 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ヘアワックス | マット〜ナチュラル | 中〜高 | ショート・動きのあるスタイル | 動き・束感を出すのが得意 |
| ヘアバーム | ツヤあり・しっとり | 弱〜中 | ミディアム・ボブ・パーマ | 保湿力が高くナチュラルなまとまり |
| ヘアオイル | ウェット・さらさら | 弱 | ロング・ハイトーン | ツヤと柔らかさ重視。ケア力◎ |
| スタイリングクリーム | 軽やか・柔らか | 中 | メンズ・レディース問わず万能 | ワックスより軽く、再現性が高い |
| ジェル・グリース | ウェット・ハード | 高 | メンズショート | ツヤとキープ力を両立。トレンド復活中 |
このように、時代は「ワックス単体」から「シーン別使い分け」へと進化しました。
ヘアサロンでも「バーム+ワックスMIX」や「オイルで仕込み→ワックスで動きをつける」といった提案が主流です。
5. 今でも“ワックスが最強”な3つのシーン
① メンズのショートスタイル
毛束・動き・ボリュームコントロールにはやはりワックスが最強。
マットタイプで立体感を出したり、クリームタイプで自然な流れを作るなど、
操作性の自由度は他の剤には真似できません。
② パーマスタイルの再現
くしゃっとした質感を出すなら、柔らかめワックスがベスト。
オイルだけでは潰れやすいカールも、ワックスを少量揉み込むと程よいリッジ感に。
③ 撮影やステージセット
照明下での“形のキープ力”や“再現性”はワックスならでは。
プロの現場では、いまでもハードワックスやグリースが欠かせません。
6. 「ワックス離れ=スタイリング離れ」ではない
興味深いのは、ワックス離れが進んでもスタイリング離れは起きていないということです。
むしろ、
- スタイリングを“自然に見せる技術”
- “素髪風仕上げ”を作るアイテム
が進化している時代です。
つまり、
「整えること」は変わらないけれど、「見せ方」が変わった。
というのが現在のトレンドです。
7. これからの時代のスタイリング剤とは?
現代のスタイリング剤は、もはや「形を作るだけ」ではなく、
**髪を守りながらデザインを長持ちさせる“ヘアケアスタイリング”**へ進化しています。
今後主流になっていくのは、
- ワックス×オイルのハイブリッド
- ケア機能+デザイン機能を併せ持つアイテム
- 性別・年齢を問わないユニセックス設計
そのため、ワックスも「単体」ではなく、他アイテムと組み合わせて使う時代に入ったのです。
8. まとめ|ワックスの時代は終わらない、ただ“進化”しているだけ
確かに、昔のように「全員がワックスでガッチリ固める時代」ではなくなりました。
しかしそれは、“ワックスが時代遅れになった”のではなく、
スタイリングの目的が変わっただけ。
- 髪を動かしたい → ワックス
- ツヤを出したい → オイル
- まとまりを出したい → バーム
- 柔らかく見せたい → クリーム
このように、目的に合わせて選ぶ時代へ。
そしてワックスは今でも、**「動き」「ボリューム」「束感」**を出すという点で唯一無二の存在です。
むしろ、ワックスをうまく使いこなせる人こそ、
「スタイリング上級者」と言えるでしょう。
これからは、
“ワックスの時代”ではなく、“ワックスをどう使いこなす時代”
へとシフトしています。
あなたも一度、今のスタイルやファッションに合うワックスを見直してみませんか?
もしかすると、昔とは違う新しいワックスの魅力に出会えるかもしれません。


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